11月30日号


フランスの旅 - Day 11 (Mon)31/07/2000 サン・ブリユ



マダム・ルペネの住む街サン・ブリユはブルターニュ地方英仏海峡に面したCote d’ Armorの県庁所在地。といってもちょっと 歩けばすぐ町外れに出てしまう海辺の可愛らしい地方都市。 午前中買い物をかねて街を少し歩いてみた。 マダムご愛用の滑 車の着いた大きな籐製の籠を石畳の道をごろごろ引っ張って町の中心に向かう。 途中で衣料品のスーパーに入り、テーブルク ロスやティータオル等を物色。 おみやげ物屋さんでなくても普通のこうした日曜雑貨店でブルターニュ独特の模様をあしら ったお土産になりそうな小物がたくさんある。 旅に出ると私はその土地の風物がプリントされた麻のティータオルを買い求め る。 嵩張らず安価で壊れる心配がなく、その後の日常の生活で旅を思い出させてくれるという大変実用的なおみやげ。

街の中心には中世を思わせるロマネスク様式の聖エティエンヌ大聖堂がある。 もともとは970年頃建てられたそうだがその 後イギリスに征服された折に破壊され、1375年に再建されたのだそうだ。 ブルターニュの沿岸は海運や漁業で栄えてきた が常にイギリスの侵入や海賊の恐怖にさらされ物騒な時代が長く続いてきたのだろう。 目のくらむような太陽で外気は汗ば むほどだが厚い石造りの建物内に入るとひんやりし、アーチ型の高い天井と荘厳なステンドグラスに圧倒される。 フランス革 命の嵐をまぬがれたという壮麗な祭壇をはじめ広い聖堂内の装飾や数多くの偶像が立派だ。

大聖堂から古い街並みに入ると壁に木でヘリン・ボーンや様々なパターンに嵌め込んだ古い家々が今にも崩れそうになりながら も隣同士で支え合いかろうじて立っている。 重々しい石造り壁に白い漆喰をぬってあったり木の部分に思い思いの色が塗ら れている家も多いので全体的に暗い感じがなくて眺めていて楽しい。 どれもが店舗やホテル、バー、住宅として現役なのだ。  広場には噴水があり昔の旅人はここで馬とともに一息ついたのだろう。 中世の町にタイムトリップしたようだ。

午後はアニエスの運転する車で海岸へ。 
ちょうど引き潮時だったようで水辺まで1kmはあろうかと思われる広大な遠浅。 
干潟の窪んだところには浅く海水が残っていて裸足の足を適当に水に浸しながらの散歩は格別。 この遠浅が水中のプランクト ンや泥の中の小動物の生態系そしてそれを食べる魚や蟹、ムール貝や牡蠣の成育に理想的なのだそうでブルターニュが海の幸に 恵まれるわけだ。イヴォンヌは子供達と岩場の影でちょこちょこっと水着に着替え砂遊びや水遊びに興じる。 マダムとアニエ スは干潟の果てまでのんびりとお散歩。 夕方になっても日差しは強いが日陰はひんやりし、かすかな風が心地よい。 私は日 陰の乾いた砂の上に寝転んで本など開く。 人気の少ない静かな浜辺で流れる雲などながめながら。 これぞバカンス。

この日のランチに頂いたブルターニュ風ロースト・ポークをご紹介材料4人分 骨付き豚の背肉塊1kg、 マスタード大さじ 3杯、 オリーブ油大さじ3杯、 好みでにんにく6片、じゃがいも1kg バター150g、塩、胡椒

オーブンを240度にセット。にんにく1片の皮をむき骨のところにうめる。 豚肉にマスタードをまんべんなく塗り、オーブン用の陶器の容器に入れ る。 塩、胡椒し油をかけ、周りに残りのにんにくを皮をむかないまま並べる。 小さく切ったバターを肉の上にちらしオーブ ンで15分焼く。 焼いている間じゃがいもの皮をむき、まわりの水分をふき取って 肉の周りに並べる。オーブンの温度を20 0度に下げ、さらに1時間焼く。 その間底にたまる肉汁を時々肉にかけ、一度ひっくり返す。

マスタードの作用で出来上がったローストは一風変わったおいしそうな表面に仕上がり、マスタードは言われなければ分からな いほどほんのりとした隠し味。 じゃがいもにも旨みがよく染み込み、あとはインゲンでも添えれば完璧。 まことに結構でご ざいました。


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