2004年6月24日号


フランス・イタリアの旅 8 トリノ その1

アカデミア美術館

フィレンチエからパリまで鉄道で一気に戻ろうとすると夜行になってしまう。 フィレンチエ最後の日にアカデミア美術館でミケランジェロのダビデ像を鑑賞した後、道中の景色を楽しみながら旅を続けるため中間地点にあたるトリノで下車し2泊した。 

トリノは17世紀のサボア公国の首都として栄え、その後サルジニア王国、そして1861年にはそれまで小国の集まりだったイタリアが初めて統一された時の首都になっており、政治にも、また穀倉地帯や自動車産業などを抱えているため経済的にも重要な都市なのだ。 その間オーストリア・ハプスブルグ領やフランス領であった時代もあり、スイスや近隣の国々の影響を色濃く受け、街のいたるところに見られる広場とそれを囲む17世紀のバロック建築の町並みが威風堂々としていて美しい。 街の人たちも周辺の国々との混血や移住者が多いせいかすらりと背の高い美男美女が多い。フランスとスイスとの国境のアルプスに抱かれるこの地方はピエ・モンテ(ピエは足、モンテは山の意味なので文字通り山麓地方)とよばれ冬は雪が降りかなり寒くなりそうだ。 殆どの建物にはポルティコ(屋根付き回廊)と呼ばれるアーケードがあるので、雪でも雨でもカンカン照りでも散歩するにはもってこい。

残念なことに到着した日が日曜日の夕方、中日の翌日が月曜日だったため美術館、博物館、宮殿の類は一切休館日。しかもトリノのお店の殆どは月曜日の午後まで閉店中。 街はまるでゴーストタウンのように静まり、行き場を失った哀れな観光客だけがさまよっているかのようだ。 唯一定休日なしのポー川遊覧船も今年は川の水が少なすぎて運行を停止しているという。仕方がないので市場を覗いたり、ポー川沿いのヴァレンティーノ公園を散歩して中世の街並みを復元したのをみたり、ピエモンテ建築の大傑作と言われるスペルガ聖堂のある山に登って市街を見下ろし、ポー川のほとりを歩いて歩いてひたすら歩いたのだ。


トリノの街には至るところにこうした広場があり、それを取り囲む建物が美しい。どれもポルティコつきなので散歩やショッピングに便利。トリノはまた豪華なカフェとそこで出される豊富なケーキ類が有名なのだがうっかりとその機会を逃してしまった。そのせいかどうかホテルの朝食がとても豪華。 生ハムやサラミなどのソーセージ類、卵料理、果物、パン、シリアル類、ヨーグルトなどの他に焼き林檎、ケーキやパイ類、クッキーまで揃っていた。でも軟弱な日本人には朝からこってりした甘いものはちょっと。





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