2004年8月11日号

ロンドンの旅 2
テート・モダン Tate Modern

メリーポピンズでおなじみのセント・ポール寺院。 

鳩の姿が見られなかった。衛生上鳩を寄せ付けないようにしているのかな。 外壁の汚れも半分ほど綺麗になって、現在大改修中。

英国の芸術・文化につかるべく、まずはロンドンの新名所テート・モダンへ。 セント・ポール駅で下車し、途中ツーリスト・インフォメーションで観光パンフの類をかき集め、テムズ川にかかる、これもまた新名所でノーマン・フォスター建築のミレニアム・ブリッジを渡る。 すると橋の向こうにテート・モダンが姿をあらわす。この建物は元々発電所として建てられたのだがその後しばらく廃屋になっていたものを世界コンペで選ばれたスイスの建築家ヘアツォークとデ・ミューロンのデザインにハイテクを駆使し煉瓦造りの外観と骨格を残しながら大改造して生まれ変わった建物だ。 ニューヨークのMoMa、グーゲンハイム、パリのポンピドー・センターと並び今や世界の四大現代美術館の一つ。 

テムズ川から臨んだテート・モダン

「金曜土曜は夜遅くまで開館」と書かれたガラスの最上部は内部に自然光を送り込み、夜はライトビームとなり夜空に美しく映える光の帯となる。


発電用タービンが置いてあった巨大な一階ホールには彫刻が展示されている。吹き抜けになった高さ30メートルの天井からたっぷりと自然光が入るので屋内を感じさせないのびやかさがある。パリのオルセー美術館を思わせるがオルセーの持つ19世紀初頭の華やかな装飾性とは対照的にこちらはなんといってももとは地味な発電所。 しかし年期のかかった煉瓦や剥き出しになった太い鉄骨には力強さが感じられ、贅沢にとった空間、窓の周りや壁に取り付けられた大型のライト・ボックス、簡素な木の床などモダンな素材と古い建物の持つオリジナリティーをすっきりしたデザインでまとめている。古い建物を取り壊して一から建て直した方がよっぽど簡単でコストも安くつくと思うのだがこうした古いものを活かしながら素晴らしい現代建築を作ってしまう英国人の意気に敬意を表したい。

作品はすべて20世紀以降のものなので展示は年代や作者別ではなく静物、風景、歴史、裸体といったテーマ別。 そのテーマごとに一日に何回かガイディド・ツアーがある。風景のツアーに参加したがそのガイドさんが素晴らしかった。モダン・アートは風景画といっても分かりにくいものが多い。手始めにお馴染みのぼやけすぎてよく分からないモネの睡蓮池の画、モネの庭園造りなど、そのいきさつから出発し、一見意味不明の作品をいくつか案内してもらった。大型作品が多いので参加者に近くで見た質感などの印象を聞いた後距離をおいて見た時にまったく違って受ける感想を聞いてみたり、その後に詳しい背景説明を加えたり、とアートの世界に上手に引き込んでくれた。 ガイドさんの知識の豊かさや質の高さもあるが作品横の説明文にしてもガイドさんの説明にしても英語なので分かりやすい。フランス語やましてやイタリア語や中国語ではこうはいかない。

テート・モダンのレストランがなかなかよい。ガラス張りの七階にありテムズ川を見下ろし眺めもよい。ワインも料理も本格的で盛り付けもおしゃれ。ソースがおいしいのに感心した。 デザートのアップル・ストルーデルにはラズベリーがふんだんに入っていて大満足。 英国の食べ物が美味しくなったという話を聞いていたが本当かもしれない。 主な美術館、博物館は入場無料のところが多いせいか昼食時には近くで働くヤッピーな若い人たちで賑わっていた。 英国は今景気がよさそうだ。結構なお値段でおまけにポンドが高いからユーロドルの高いヨーロッパ以外の観光客にはつらいところだが。

ミレニアム・ブリッジは歩行者専用。

その先に見えるのがセント・ポール寺院。













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