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5月31日


「NZ学校訪問の旅 シドニー編 (1)」

オークランドを出発する日の午前中もドメインにある温室ウィンター・ガーデンを大急ぎで見て回り12時に予 約してあった空港行きのミニバスに飛び乗った。 大人NZ$10,子供半額。 空港に着くまでの30分間次男 はドイツ人の若い女の子達とずっとしゃべりっぱなしだ。 これからインドネシアのバリに向かうという彼女た ちと別れ、私たちはシドニーに向かう。 シドニーには4年前に香港から帰国した次男の幼稚園時代からの親友 アダムがいる。 その後も友情は続いており2年前に再会を果たした。 南アフリカ出身のもう一人の親友ウォレ ンと香港のセカンダリー・スクールを卒業したらアダムを迎えに行って3人で同じ大学に行き卒業後はアメリカ に渡りテレビでお馴染みの「ベイ・ウォチャー」をするのだそうだ。 お目当てはパメラ・アンダーソンのよう なベイブと言うから参ってしまう。

3時間半のフライトの間に封切り後間もない「Babe続編」が上映された。 シープ・ドッグならぬシープ・ ピッグを連れて大都会シドニーに出掛かることになった農婦のドタバタ喜劇で空港の検疫犬が出て来る。 オー ストラリアも偉大なる農業国で農作物に悪影響を及ぼす害虫や病気を水際で防ぐべく特に食べ物の持ち込みにう るさい。 この検疫犬が私のバッグの前でクンクンするのだ。 オークランドで食べきれなかったりんごをこのバ ッグに入れ機内で食べた後も匂いが残っていたらしい。

シドニー到着で時計を2時間戻す。 しかし、時代は20年進ませる、などと口の悪いオーストラリア人は言う らしい。 オーストラリアとニュージーランドは隣同士、イギリスの移民が多くを占める英語を母国語とする白 人社会等のイメージからして一緒くたにして捉えられがちだが彼らの間には愛憎ない交ぜの複雑な感情があるよ うだ。 実際20年ぐらい前までは相互を行き来するのにパスポートも要らなかったらしいが、どうも日本と韓 国、あるいは中国との関係ぐらいと思ってもよいようだ。

空港の外に出るとカンカン照りでオークランドより気温も湿度も高く感じられる。 ここでも市内の主要なホテ ルまでミニバスが随時出発しておりA$6。 アダムのお父さんブライアンに予約してもらったフラマ・ホテル はダーリン・ハーバーにある赤煉瓦の建物で歴史的建造物として永久保存されている。 1泊朝食税・サ込み二 人でA$192。 4つ星ホテルとしてはむしろ質素な方だが清潔で部屋も広い。 荷物を運んでくれたボーイさ んは次男が持っていたハッキー・サックを見て「あ、それ僕得意だよ、退屈になったらおいで、教えてあがるか ら」ととてもフレンドリー。 前回の滞在を含めオーストラリアで3つのホテルに泊ったが、どこでも洗剤によ る水質汚染を少なくするためタオルの不必要な洗濯を避ける協力を求めるメッセージがバスルームに置かれてい た。 「洗濯する必要のあるタオルはバスタブのなかに入れておいて下さい。」と。 また、石鹸、シャンプーの 類も使い捨てのミニボトルではなく詰め替え式になっているのが好ましく思われる。 海に出かける時にはビー チタオルを無料で貸してくれるし、部屋にアイロンとアイロン台が置いてあるのも助かる。

荷物を解き少し落ち着いた所で中心部のショッピング街までモノレールで出かけることにした。 夜の帳が降り ると湿度が増すようだ。 少しむっとした暑さを感じる。 ダーリン・ハーバーの一角からシティー・センター をぐるっと一方方向に7駅を結ぶモノレールはあっという間に一周してしまうが眺め目も良く、土地感を掴むの に良いかもしれない。 料金は一律A$3。

普段は6時頃に閉まるデパートや商店も木曜日、金曜日には夜9時まで営業している。 2年前に来た時には工 事中だった Pitt Street のデパートも出来上がっていて最上階 (だったと思う)にある書店は広々 としていて所々図書を閲覧出来るテーブルと椅子も設置されていた。 この近くに私の好きなビクトリア時代の 建物が三つある。 一つはどっしりとした荘厳な石造りのタウン・ホール。 市庁舎にしておくのはもったいない 立派な建物だ。 中には南半球最大のパイプオルガンがあるそうで是非一度中には行ってみたいものだ。 あと二 つはクイーン・ビクトリア・ビルディング(略してQVB)とストランド・アーケード。 ビザンチン・スタイ ルのQVBはもともと生鮮食料品市場として建てられ、ストランドと共にどちらも吹き抜けの回廊の上は自然光 がたっぷり入るガラス屋根が特徴的。 火事に遭ったり、第一次世界大戦後朽ち果てるのを待っていたりで何度 も取り壊されそうになったが莫大な費用と時間をかけてショッピング・モールとして蘇生し、観光スポットにも なっている。 古めかしい床のタイルの模様、ステンドグラスの窓、回廊や廊下の手すり、グレタガルボなんか が出てきそうな大時代なエレベーターなど、19世紀末の優美な建築様式が随所に見られ中に入ると見とれてし まってなかなか出てこられない。

取り壊して新しいビルを建てた方がずっと効率がいいに決まっているがこういうのを見ると嬉しくなる。 こう した歴史的な美しい建物が香港でどれほどなぎ倒されたことだろう。 サーキュラー・キーにある前回泊ったイ ンター・コンチネンタル・ホテルももともと19世紀中頃建てられた大蔵省の古い重厚な建物を残し、上に高層 ホテルタワーを建てたもので保存と経済効率の両立が成功した例だろう。 周りにもヨーロッパを思わせる古い 石造りの建物が今も現役で活躍しているのを見て嬉しく思ったものだ。 歴史の浅い若い国だからこそ古い歴史 的なものを大切にするのだろうか。







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5月26日


「NZ学校訪問の旅 ー 11」

前日大いに価値あるミュージカルを観たせいか次男は朝からご機嫌で今日はドメインに散歩がてらのオークラン ド博物館行きにのってきた。散歩にはもってこいのお天気。 ドメインは広々とした芝生が続くなだらかな丘で これも火山の跡なのだそうだ。 サンダルを脱いで歩く素足に当たる芝生の感触が気持ちよい。 その丘のてっぺ んに白亜のネオ・クラシック建築オークランド博物館がある。 建物は大英博物館に似ているが街中ではなく真 っ青な空の下、緑の丘にそそり立っているところがいい。 正面に立つと目の前にオークランドの市街地と港の あるワイテマタ湾が広がる。 最大の見ものはマオリを始め南太平洋の展示物だがあいにくとその部門は改装中 で閉鎖されていた。

入場料は一応無料だが大人一人につき寄付としてNZ$5を求められる。 子供は必要なし。 学校から見学に来 ている子供の団体も多かったが、こうした場所の子供の入場料免除というのは大いに賛成だ。 香港では曜日に よって無料になる場所もあるし、そう高くはないが超過密都市のためいつも混雑している。 思うに日本の美術 館、博物館の類は内容の割に入場料が高く、子供からもしっかり取るのは情けない。 子供には図書館や児童館 のように無料開放し、出来ればガイドする人がいればもっといいのだが。 しかも歩きつかれて休む所や荷物を 預けるのを自動販売機やコインロッカーに任せる所がお寒い。

ヨーロッパの美術館や博物館は規模の大きい所では休憩用のカフェテリアがあって食事やお茶の時間に休みを取 りながら一日ゆっくり回れるのがありがたかった。 オークランド博物館もロビーにしゃれたコーヒーショップ がありクロークでは無料で荷物を預かってくれた。 香港でも同じようなことをしてくれるが応対する人の態度 がお愛想無しだ。 それでも機械相手よりはマシだと思う。 この点キーウィー達は素朴で親切に笑顔のおまけつ き。 それに当たり前だがチングリッシュ(Chinglish=Chinese English のこと。その他 Japlish = Japanese English, Singlish = Singaporean English などあり)じゃなくてちゃんとした英語を話してくれるので非常に 快適なのだ。

それはさておき、オークランドで一個所しか行けないのならここというだけあって、さすがに内容が充実してい る。 高い天井、ゆったりとした重厚な石造りの館内にはニュージーランドの歴史、自然、動植物、文化などの 展示物を始め工芸品作成の実演もあり、意外にもラリークのクリスタルのコレクションが見応えであった。 さ らに意外にも第二次世界大戦中に飛んできた日本のゼロ戦が螺旋階段の天井からぶら下がっているのである。 次男は南半球のニュージーランド特有のキーウィーなど珍しい動物の剥製に興味を示したが遠いヨーロッパから の初期の移住者が荷物と一緒に船内に浸入したネズミ退治のため連れてきてその後野性化した猫たちの生涯に思 いを馳せていたようだ。

もっとじっくり回りたかったが昼食をここで取ると次の予定がこなせなくなる。 何しろ翌日には出発だ。 お腹 が空いてぶーたれる次男をなだめながらパーネルとニューマーケットの中間にあるしゃれたカフェ、TriBeCa に 向かう。 パーネル・ロードとジョージ・ストリートの角にある赤煉瓦の建物で、通りに面した芝生の庭のパラ ソルやテーブルに引き寄せられる。 店内はほぼ満席だったが背の高いハンサムなお兄さんに案内され次男はリ ゾットとやみつきになったスピリリーナ、私はアンチパスタをオーダー。 パスタかと思っていたものは櫓状に 組み立てたイタリア・パンのスライスにフェタチーズ、サンドライ・トマト、いちじく等のサラダをおしゃれに 載せたものだった。 評判に違わず満足度高い。 敷地内にはガーデン用の高級家具店が何件かあり覗いてみたが べらぼうに高かった。 次男はお小遣いで買えるぶらんこを買って香港の団地の庭の木にぶら下げるのだとしば らく粘っていたが。

その後学校を抜け出してきた長男と銀行の用事を済ませ、散髪に連れてってくれだの夕飯も一緒にとしきりに甘 える長男を冷たく追い返し、オークランド最後の夜はM子さんのお宅でバーベキューをご馳走になった。 バー ベキューを焼くのはもっぱらご主人の役割とかでキーウィー・ハズバンドの働きぶりもとくと拝見させてもらっ た。 楽しいおしゃべりの後、名残を惜しみお宅を出た夜空は曇りがちではあったが沢山の星が瞬いていた。 下 ばっかり見ていないでもっと早く気がつけばよかった、南半球の星たち。 不夜城、大気汚染の大都市では見ら れなくなった星空があった。






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5月20日


「NZ学校訪問の旅 ー 10」

次男は今日も朝から「学校に行こう」とお題目を唱え、海洋博物館やドメインの散歩などいろいろ持ち掛けても 一向に乗ってこない。 夕方近くまでグダグダ過ごし市内循環バスに乗ってオークランド市街地西のほぼ外れに あるビクトリア・パーク・マーケットに向かう。 なにしろ小さい街なのでモーテルで貰った観光道路地図を片 手にバスの窓から道順をたどっているとすぐ分かる。古い煉瓦造りの建物から伸びた高い煙突に Victor ia Park Market とある。Tシャツやジーンズなどのファッションやクラフト、お土産物などを売 っており中庭では時々ライブ・コンサートもあるそうだ。 観光スポットになっているのに閑散としていてどう やって経営しているのか心配になるほどだ。 タンドーリ・チキンを買ったカフェテリアのパキスタン人のお兄 さんは日本語がぺらぺらなので驚いてしまった。陸に上がった元船員だとかで日本人の船員仲間に教わったのだ そうだ。六時まで毎日営業、の筈なのに5時前にはどのお店も閉め始め例のごとく5時半には完全にゴーストタ ウンになってしまった。

この日のメイン・イベントは夜7時半からアオテア・センターASBシアターでの「レ ミゼラブル」。 マーケ ットから劇場までは散歩がてらに歩いて10分ほど。 アオテア・センターは1990年にキリ・テ・カナワに よりオープンとある。 明らかにヨーロッパ系の顔立ちの彼女だがその変わった名前はマオリのものでキーウィ ー達が世界に誇るソプラノ歌手だ。 アオテアというのもマオリ語で「白い雲」とか「霧の向こう」とか「新し い始まり」とかいう意味なのだそうだ。 センター内には2250人収容のASBシアターを始め、小劇場やコ ンベンション・ホール展示ギャラリー、レストラン、バー等がありこじんまりした外観に反して中に入ると立派 だ。 しかし、連日のように新聞で「もう最後、もう最後」と広告を打っている所を見ると切符の売れ行きが良 くないようだ。切符は数日前に買ってあったが当日券もある。 一ヶ月ぐらい前には売り切れてしまう香港では 考えられない。 「レ ミゼラブル」は香港で大枚を叩いて一度観ているので今回は一番安い切符にした。 D席 でNZ$38.50。 真ん中ではないが前から5列めとはラッキーだ。

開演まで飲み物やスナックを売っているロビーもゆったりしており、案内の人たちも 「ハロー、ハウアーユ ー」ととてもにこやかで気分がよい。 案の定、観客の入りは3分の1か4分の1といったところで後ろの方に 座っている人たちにも「どうぞ前の方の席にお移り下さい」と粋な計らい。その方が演じる人たちにとってもい いと思う。 おかげで私たちも俳優さんたちの表情まで良く見える最高の席でゆっくり楽しめたのだ。 しかも、 一度目に観た時にはよく分からなかったこともその後CDを聞いたり本を読んだりしていたので今回は存分に堪 能出来、劇場に通う人たちの気持ちが分かるような気がした。 ただし、俳優さんたちは以前観た時の顔ぶれと 大分違っていたし、舞台装置も若干変わっていたようだ。 中でも子役は現地調達するのだろう、キーウィー訛 りの英語というところがご愛敬だった。

公演期間は2ヶ月ぐらいだったと思うがこういう入りでは残念なことだ。 やはり人口が少なすぎるのだろう か。 次の公演地オーストラリアのパースではどうだろうか、などと思いながら帰路に就いたタクシーは近道し て真っ暗なドメインの林をヘッドライトのみを頼りに突っ走る。 不夜城の香港住人はこの時ばかりは灯かりを 恋しく思った。






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