似顔絵は
三浦さんに描いていただきました。
似てるか似てないかはご想像にお・ま・か・せ。(^^)
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【6月1日号】

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6月1日号



「エコストレス」

 妙な言葉を地下鉄の車内吊りの広告で見かけた。
「エコストレス」?うんぬん。
週刊誌の記事のタイトルだ。その横には「真っ白な紙をゴミ箱に捨てる同僚にイライラ・・・」とコメントがあった。どうやら、限りある地球資源を憂えて、まだ使える白い紙をゴミ箱に捨てることに罪悪感を感じ、ストレスになる人が増えているということらしい。
そうなんだ・・・。みんな真面目に「もったいないお化け」を恐れているんだね。 戦争中のモノの無い時代を体験した人か、その人達に育てられた団塊の世代位までしか、「もったいない」ということが身体に染み付いてないと思っていたのだけれど・・・。

私は団塊の世代だから、戦争を体験している世代に育てられ、「もったいない」がけっこう生活の中に組み込まれてきた。
木綿の着物が古くなれば座布団やおしめに縫い変え、それが古くなれば雑巾に使い、ぼろ雑巾になると最後は土壁に塗り込める・・・といった日本人のモノの使い方としての美徳を小学校で教えてもらった覚えがある。

私の母親は、使い終わったお風呂の湯を洗濯機にバケツで汲んでいた。年を取ってバケツが重くなったら、モーターで湯を汲み上げていた。(全自動になるとそれはもうあきらめていたが・・・)
生ゴミは庭に埋めて肥料になっていた。今は大木になって沢山の実をつける実家の枇杷の木は、確か埋めたゴミの中から芽を出して育ったものだ。

だから日本の高度成長期の「消費は美徳」のキャンペーン以来、罪悪感を感じながら、「もったいない」を感じながらも流されてきた。
環境・資源問題は、これからの未来を生きていく若い人達こそ、神経質になって当然なのかも知れない。「もったいないお化け」を知らない若い人達がストレスを感じ出したとなると、この世の中、未来は捨てたもんじゃないな〜と私はかえって安心したりする。

「もったいないお化け=エコストレス」と仮定すれば、出てくる出てくるドロ〜ンドロ〜ン。あっちもこっちもお化けだらけ、いや、エコストレスだらけだ。現在、庭の無いベランダ暮らしともなれば、毎日の生ゴミを清掃車に処分してもらう生活が、やっぱりどこかチクリと痛む思いがする。卵の殻や茶カスぐらいは植木鉢に混ぜ込んだりするが、これを埋めて発酵させたらさぞかしいい堆肥になるやろな〜と見るからに美味しそうな生ゴミを、バサッとゴミ箱に放り込む時など胸が痛い。

ペットボトルとなると、2リットル、1.5リットル、500ミリリットル、350ミリリットルとすごい数!
2週間に1回のビン・缶回収の時にはスーパーの大きなビニール袋に2杯ぐらい貯まっている。なんでこんなに使ってしまうんだろうと、涙が出そうになる。いや、大袈裟だけど・・・。プルトップのアルミ缶やスチール缶は家に持ち帰る迄に回収ボックスに入れているから、それらも入れると、どれだけすごい数になることやら・・・。日本には至る所に自販機があり、コンビニがあり、出先などでついつい買ってしまうが、そんなに気軽に手に入らなければお茶を作って持っていくだろうに、いったん手に入れた便利さ、悪魔の誘惑だ。

事務所のOA機器から吐き出される紙もかなりの量だ。出来るだけメモ用紙や落書き帳に利用しているが、毎日ドンドン貯まって行く方が多く、結局シュレッダーして捨ててしまう。ある時思い立って手すきの紙を創ってみた。出来るだけ白い部分の多い紙をシュレッダーして、梳いてみたが、繊維が細かく切れてしまったのか、やたらノリが要って仕上がりは上出来とはいかなかった・・・。もったいないお化け成仏・エコストレス解消には、倍のエネルギーが要るし工夫が要る。

極めつけは衣料品かも知れない。流行に遅れた、飽きた・・・ぐらいのことで、どんどん不要品の袋に入れられていく。もう少し裁縫の腕が有れば、何とかしてやりたい服がいっぱい。一応はリフォームするつもりで2,3年は置いておくのだが、いよいよ押入がパンクしそうになって、買った方が安いよなんてまた悪魔がささやいて、心を鬼にして捨てる。一応廃品回収に出しているので、またどこかで、活かされていたら、うれしい。

リサイクル法が4月から施行されて、冷蔵庫やTVなどリサイクル費用がいる電気製品が、人通りの少ない山際などに不法投棄されているという。自治体は不法投棄防止のために監視カメラなどのシステムを組んで4000万円近い出費というニュースが出ていた。使った後の不要のものにリサイクル費・運送費で7000円〜9000円出費するのは、人間の感情として面白くないのは当たり前。私も、そんなに払うのは、アホらしいと思ってしまう。新製品を購入する際に、リサイクル費はいくらと提示して上積みする方が、これから必要なため否応なく払うのに・・・。

「森林資源を守ろう」と、牛乳の紙パックを止めてビンを使おうという意見に、反論の資料を出している人がいた。ビン回収のための自動車のガソリン使用量や排気ガスの計算をして、森林を守るために石油資源を余計に使って、その上地球温暖化にも拍車を掛けることになってもいいのかと言う意見だった。
ことほどさように、エコロジーは気むずかしい。あちらを立てればこちらが立たないゴム風船の中の空気みたい。そして風船はドンドンふくらんで、今にもパ〜ンと破裂しそう。先進国が消費している箇所だけドンドン薄く伸びて、もうダメ〜ッと、耳をふさいでる状態だもんね。

こんなに毎日、私達はエコストレスにさらされている。
私達は、手に入れすぎたよね。口にも入れすぎた。走りすぎた。ちょっと立ち止まって深呼吸してみたいよね。そして捨ててきたものを、もう一度活かして成仏させてやらなきゃね。 
一流ホテルの厨房から毎日何トンも出る野菜クズなどを堆肥にして「栄養土」を売り出した・・・と言う記事を先日見かけた。一流ホテルブランドの堆肥が売り出される時代になったのだ。これからはペットボトルで作ったフリースがブランドになり、古いジーパンで梳いた紙がレターセットのブランドになるかも知れない。捨てられていたモノがうまく成仏してくれたら、エコストレスも解消・・・と言うわけだ。



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