似顔絵は
三浦さんに描いていただきました。
似てるか似てないかはご想像にお・ま・か・せ。(^^)
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【12月24日号】【12月7日号】

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12月24日号



「30年後の利子」

 大学時代の同級生3人で、忘年会をした。
正確に言うと、私は2人にお招ばれしてご接待を受けたのだ。
30年前、授業の講義ノートを見せてやって卒業できた恩義を忘れずに、立派に出世した2人が3、4年前から忘年会に誘ってくれる。
「てっちり」から始まって2次会はキタの新地のクラブコースだから、講義ノートはかなりの利子が付いて返ってきたことになる。
若いときに、恩を売っておくものだ。
そのてっちり鍋で、肝を食べようということになった。
私は「まだ死にたくない!!」と断固辞退したが、彼らは「なんで?」と不審そうだ。
「死んだら死んだで、ええやん・・・」とあきらめがいい。
私は「そう長生きしたいとは思わへんけど、娘が出産する時までは絶対いててやりたいねん!」と主張した。 人生一応やりたいこともして来たし、思い残すことも少なくなってきたけれど、その一点だけに、私はこだわっている。私の母が出産の時にすでに母親を亡くしていたので、産後が大変だったと言うのをよく聞いていた。それを思うと娘の出産を見届けないと死ぬに死にきれない。
彼らは生命保険に入っているので、これから稼ぐ額よりかえって家族は喜ぶかも知れないと、思い残すことはないらしい。
生む女と、その実感のない男の違いだろうか・・・?

 ふぐをつつきながらの話題は、家族のこと、仕事のこと。
彼ら2人は、自分の息子のことに話が及ぶと、ことのほかご立腹だった。
ええ? そんなもんなん・・・?
大学の校門前まで来ていながら脇道にそれて、雀荘に連日入り浸っていたのは誰やった?
試験前になって、あたふたノートを見せてくれと頼んできていたんは誰やった?
そんな彼らが、「うちの息子は頼りない・・・」「ロックバンドばっかりやって、単位もろくに取ってない!」「目的意識を持たずに、ダラダラやっている・・・」などなど。
言うてます、言うてます。その言葉、あんた達の学生時代にそっくりそのまま返したげますぅ! 昔を知っている強み、同窓会はこれだから面白い。

他の同窓会に行っても気付くのだが、このところ男子の様子が変わってきている・・・。
なにやら、哀愁を帯びてきているのだ。
サラリーマンになった人達は、おおむね部長やら支店長やらというポストについているが、この1、2年、50を越えたぐらいからが微妙な立場で、峠の上を行くか、下って行くかの瀬戸際のようなのだ。自分の出世の行方が見えてくる頃らしい。
取締役コースに乗れるか、このまま定年かあるいは子会社の役員コースに乗り換えるか・・・。
実際、去年羽振りよく元気だった人が、今年はなんとなくおとなしくなっている・・・といった現象があったりして。
かと思えば同業の、大手と中堅会社のそれぞれが、大手の部長か中堅の役員かどちらが値打ちかといった暗黙のライバル意識がちらついていたりして・・・。
仲の良い旧友同士といっても、そんな思惑が冗談混じりにちりばめられている。
やっぱり男の世界はきびしいんだ。
女同士の集まりなら、趣味やフアッション、おいしい料理やケーキの話で充分盛り上がるが(もちろん、誰が若く見えるかといった点では壮絶な闘いがあるかもしれないけれど・・・?)男同士は喰うか喰われるか・・・、ゴルフのハンディまで競っている!

 くだんの利子付き同窓会は、とうとう行き着くところ、漢方薬や健康食品の話になってきた。
眠れないだの、おしっこが近いだの、男にも更年期があるだの、なんやこれ?
学生時代のマドンナを相手にいう話か!
同い年と思うとついつい油断が出て、どう見ても、色気がな〜い。
ぐちを聞くことも利子としてついてきてるようだ・・・。


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12月7日号



「幸せな結婚は幻想か?」

   昨日、ダンナの父親の弟、つまり叔父に当たる人のお葬式があった。
81才の大往生で、義理でもあるし、私にとって特別な感慨にふける人でないはずだが、 通夜に引き続いて気ぼねの折れる式だった。

 叔父は妾宅から病院に入院して、3日前に亡くなった。
妻と2人の娘がいた家には、40年近く寝泊まりしていない。下の娘が2,3才の頃にはすでにEさんの所に入り浸っていたというのだ。
当然、本妻は恨み辛みの感情を持って、2人の娘を育てたことだろう。しかし、6才上の長女はまだ父親との思い出もあり、二女のあっけらかんとした、父親に対する他人扱いに比べると、より複雑な感情を秘めている。

 本妻は叔父の親戚関係のつきあいはその後一切せず、愛人の方が結局なにかと祖母の面倒をみたり、祖母や叔母の葬式というときにも、世話を焼いていた。
公の場に彼女が出てくるものだから、私達もそれなりにおつきあいをしてきた。
妻と2人の娘がいる叔父をもぎ取った人だが、他人の私から見るとなかなか感じのいい、きれいな人だった。若い頃はクラブのママをしていた人らしく、70を過ぎた今でも、その残り香がほのかに匂うようだった。
晩年の体がきかなくなった叔父を一人で看病し続け、最後を看取ってお葬式を出しているのを見ると、私には健気な姿だけが映った。

 お通夜の席では、Eさんの親戚や、叔父側の親戚、妾宅のご近所の方がいる中、長女が一人参列していた。お焼香を済ませると逃げるように帰るのを、後を追って、ダンナは声をかけた。彼女とは幼なじみで育っているので、「よう、来たね・・・」と言うと、「私のお父ちゃんやないの・・・。ただ、知らない人ばかりの通夜に参列して、情けない・・・」と涙していた。

 明けて翌日のお葬式には、長女の主人と二女も参列した。彼女は小さい頃に離れているので、あまり父親としての実感が無く、Eさんとも初対面だった。
「小さい頃の悔しい想いを、40過ぎて未だに引きずってる・・・。ひとつ暴れてやるか・・・!」と冗談めかして話していたが、Eさんの姿を離れてじっと見ている視線は、 私にはうかがい知れない凄味があった。Eさんとその親戚の方達は昨夜よりもっと控えめで、何やら緊迫した空気が漂っていた。
お焼香の順番からして、誰が先にするかでEさんと娘達との間で、遠慮が飛び交っていた。
お葬式が終わり、位牌や遺影を持って火葬場に行く際にも、また遠慮が飛び交った。
葬儀社の係りの人も、たまにはこういう場面に出くわすのか、「位牌はどなたが・・?」と誰にともなく聞いていた。結局長女の主人が位牌を持ち、Eさんが遺影を持つということで落ち着いた。

 二女は火葬場に行かず、ポツンと、「なんでお棺の中に運動靴が入っていたのかも、わかれへんねんワ・・・」と言った。
それは晩年、体が効かなくなってきた叔父に運動靴をはかせて、Eさんがあちこち散歩につれ歩いていたときの物だそうだ。ダンナが説明していたが、彼女はその話をどう受け止めただろうか? やっぱり部外者には伺い知れない・・・。
二人の女と、二人の娘をこんな複雑で、悲しい立場に追いやったのは、叔父の責任だ。
好きなことをして、逝ってしまった。

 今朝、「婦人公論」の新聞広告が載っていた。
『特集・幸せな結婚は幻想か?』  なんとまぁ、ショッキングなタイトルだこと!
『結婚は女にとって、ストレスだ!』  なんとまぁ、元気なこと!
昨日のお葬式の余韻が残っていて、夫婦について考えさせられたので、つい、眼がいってしまう。
タイトルを見ているだけで、おもしろい。
☆野村克也vs沙知代、
 舌戦「心優しき名監督vs強運な妻」・・・いい女房はどっちだ?

☆事実はミステリーよりも奇なり、
 山村美紗さんと過ごした30年の温もり、・・・西村京太郎

☆『内助の夫・感謝賞』受賞者は、向井万起男氏、
 宇宙飛行士、千秋さん「飛んでる女房を愛し抜く」氏に、選考委員は瀬戸内寂聴さん。

世の中いろいろあって、男と女の有り様も、千差万別。いろんな物語があるのだろう。
近頃、人間関係が希薄になってきたり、結婚に希望が見えないためか、はたまた傷つきたくない為か、{結婚しない症候群}が増えて、独身男性、女性が私の周りを見ただけでも沢山いる。
結婚に失敗することも、不幸になることも多々あるかもしれないけれど、最初から避けて通るのは、何とも人生もったいないと思う。
こんな記事もある。
☆ルポ <パソ婚の時代>
 インターネット見合い、大盛況にはワケがある・・・。だって!
いろんなチャンスを使って、男と女が出会っていけば、何かが生まれてくるよね。


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