似顔絵は三浦さんに描いていただきました。
似てるか似てないかはご想像にお・ま・か・せ。(^^)
「なにわの掲示板」に
ご感想、ご意見を書いていただくとうれしいです。
【2月22日号】【2月18日号】【2月9日号】
バックナンバー目次【最新号へ戻る】
2月22日号
「臆病者■」
テレビには、本編のドラマよりドラマチックなシーンを見せてくれるCMが時々ある。
たった15秒の中に、ブラックホールの重力のごとく重く凝縮されたシーンが埋め込まれているので、ついつい引き込まれてドラマより真剣に見てしまう。
TVドラマのように番組の時間表が無いので、いつどこで放映されるかもわからず、スリル満点で追っかけをしている。確かアメリカの60年代に流行ったと思う女性ボーカルがBGMでながれるので、その音が流れ出すや、「すわっ!」という感じで、TVにくぎづけ!
その、今一番ドラマチックでいろいろ想像をかきたてられる、私ごひいきのCMは、携帯電話の会社のもの。
佐藤浩市演ずる、たぶん妻子持ちの中年さしかかり、37,8才の男性。
寒いプラットホームか道路際か、場所は特定できないけれど、ごく日常的な街角のような場所にたたずんでいる。白い息をうっすら吐いて、鼻が寒さか悲しさかで少し赤くなっているような感じで、雪雲がたちこめて今にも降ってきそうな夕暮れ時の感じ。
感じ、感じと続くが、画面ではほんとにあまり周りの状況がわからず、そのような感じの時と所と私は勝手に想像している。
方や、20代前半、ひょっとして18,9?と思わせる長い黒髪の女の子。白いコートを着て、物陰からじっとこちらを見つめている。中年さしかかり男のアップが出て、「サヨウナラ■」と携帯電話の文字が画面に現れる。
長い黒髪娘視線をはずさず、「臆病者■」
と文字が出る。そしてじっと見つめる娘の前を電車が通り過ぎたような陰が横切る。線路を挟んで、彼と少し距離があるような情景だ。
中年さしかかり男は、そこで何とも言えぬ寂しい顔をする。何かもっと言いたい。でももう言えない。何と言われようが、思われようが、もう終わりだという・・・思い。
若い女性との愛の終わり。それもまだ生々しい高揚感のある間の、突然の、止むに止まれぬ別れの様な感じが伝わってくる。
あまりに切ない浩市さんの表情に、TVの前の中年女は「どうしたん? どうしたん?」
と、ついついおせっかい婆ばぁの如く、2人の状況をいろいろ推し量ってしまった。
・・・・妻子持ち、中年さしかかり男は、思わぬところで不意に若い女の子に恋をしてしまう。決して倫理観のない、いやらしい飢えた中年男でないことが、この際大切!
若い女の子はバイオリンを弾いている子か、絵を描いている子。あくまで物静かで、内に秘めたパッションが燃えている・・・。ひょっとしたらファザコンで、父親の影を追っているかも知れない。そんな彼女が一方的に、彼に恋をする。援助交際など受け入れてしまう安っぽい女じゃいけない。(中年女は、この辺りどうしても倫理的になる。)
偶然の出会いが2度3度と重なって、ある時恋い焦がれる思いが怒濤のようにあふれ出て彼に告白する。このあたりは驚くほど積極的で、情熱的でなきゃぁね。
憎からず思っていた中年さしかかり男、彼女の体当たりの若い情熱に、失ってしまった青春の悔恨の熱い思いが蘇り、ついつい・・・・と。
ここで重要なのは、中年さしかかり男の家庭は、決して崩壊していないことだ。」
大恋愛をしてやっと我がものにした愛する妻と、かわいい子供も2,3人いて、至極幸せな家庭を営んでいる。
あぁ、それなのに、それなのに・・・こういうことになるのですね、世の中は・・・。
男は新しい恋に夢中になりながらも、愛する妻を裏切っていることを自覚して苦しんでいる。
ある時、恐れていたことが突然起きる。妻に知られてしまった!
知れてしまったから、恋を止める。知れていない間は続ける・・・というのも、二人の純愛が腐敗する。
だから、ここで一挙に妻は自殺未遂をしたことにしょう。
愛の裏切りを知って、妻は絶望したのだ。まだ取り乱してひっかいたり、暴れたり、泣きわめいたりしてくれた方が良かったと、夫に思わせるぐらい彼女は深く絶望して、事に至る。
「なんでだぁ! おれはお前を愛しているのにぃっ・・・・!」不条理が押し寄せる。
男の論理と女の情念は、立体交差のように相交わらない。
「サヨウナラ■」男はふるえる手で携帯に文字を打つ。
「臆病者■」女は意気地無い男に、最後の思いの丈をぶち込む。
浩市さんの赤い鼻をした、やるせない表情があまりに迫真に迫ってきたので、ついつい15秒間のつかの間のドラマから、あらぬ妄想をしてしまった。
本心を言えば、佐藤浩市さんにあんな表情を私にもしてもらいたいものだと思っているのかもしれない・・・!
世の中年男は、「臆病者!」と呼ばれても浩市さんになってみたいと思っているのだろうな。
ところで、肝心の携帯電話、どこの会社だったのかなぁ?
TOPに戻る
2月18日号
「お役所仕事 PART 2」
もう、2月も半ば。
決算や確定申告の時期で、世の中、何だかあわただしい。
我が家も、義母が年金所得税の還付申告をするので、私が代わりに計算して申告に行っている。
今年度、義母はお陰様で大病もせず、医療費控除の欄はなし。2年前の大手術で入院の時は、病院への送迎のタクシー代も医療費控除の対象になるので、しっかり保管して計算したものだった。例年のとおりの書き込みでそう大した手間もないのだが、今年は特別減税などの欄もあり、相談所を通して申請することにした。
相談所まで自転車で25分ほど。10時半頃着いて2階への階段を上がると、もう人、人、人であふれている。
係りの人は丁度私の前で、「午前中の受付はもううち切り!」と言う。受付の時間が決まっているわけじゃなく、だいたいの予測で午前中の相談人数はもう一杯と見たらしい・・・。
午後は1時からで、予約の受付をしてもう1度午後に来なさいと言う。自転車で行ったり来たり、2時間半も時間をつぶせないので、「まだいけるでしょ、午前の部に入れてよ」とお願いしてしていたら、午前の部に入っていた男の人が「ちょっと用事が出来たので午後の部にして・・・」と係りの人に言いに来た。 ラッキー!!
「丁度ひとり減ったんやから、行けるでしょ?」と言うても係員は何やら困っている。
何も困ることないのに・・・。
こんなことぐらい臨機応変に対処してくれればいいのに・・・。
後から来た人たちは、言われたとおり素直に帰っている。みんな近くの人なんかなぁ。
もう1度、「一人減ったんやから入れてよ!」とこっちも意地になってしつこく言うてやった。 (えっ? がめついおばはんやて? この年になると、これぐらいは言えるようになります。)
ようやく、仕方ないといった感じで受け付けてくれた。良かった!とほっとしたけど、がめつくねじ込んだ感じで、私自身もあまり後味が良くない。
なんでこんないやな思いをせんならんのかなぁ・・・?
たぶん12時から1時までの昼の休憩時間を、相談員が一斉に取る為にこんなことになるのとちがうのん?
いつも思うことはお役所仕事の、悠長さだ。
相談員が10人いれば、昼休みの時間を5人づつにして、ずらせばいいのに・・・。
いつまでたっても改良されない。民間の銀行はもちろんのこと、郵便局だって昼休み時にも営業している。
そして、まさにお役所仕事だなぁと笑ってしまったことは、次の様な状況だ。
会場に番号が貼られたパイプ椅子が50程並んでいる。相談を待つ人は1番から順番に座らなきゃいけない。1番の人に相談の順番が来て席を立った後、2番から50番までの人達が席を詰めるためゾロゾロ動く。座ったと思ったら又立って、ゾロゾロ詰めていく。
待っている1時間の間、立ってゾロゾロ、座ってゾロゾロを何回繰り返したことことだろう! おちおち本も読んでられない!
この状況は、お役所の側からみるとすこぶる機能的だ。呼び出しも何もしなくても、次から次ぎへと順調に順番が捌けていく。
だがこの行列の有様は、まるでお代官様に年貢を納めに来た農民のごとき扱いだ。
今は、もうそんな時代やないっちゅうに!
整理番号でも発行して、順番に呼んでくれればいいものを・・・。
公務員は公僕で、市民のサービスに努めてもらわなあきません・・・。
やっぱり、一時、民間のサービス業で研修を納めてから、公務員になっていただきたい。
結局、最後尾の私が申請を終わったのは11時30分。
さっきの係りの人の予測が30分、狂ったことになる。
お昼の12時までに、追い返された少なくとも20人ぐらいの人達が申請できた30分という時間だ!
TOPに戻る
2月9日号
「散歩の行き帰り」
小春日和の日曜日、絵画教室の作品展を覗きに、ダンナと散歩がてらぶらぶら出かけた。道の途中に電気製品の量販店があることだし、先日来たDMの中にプレゼント交換券が入っていたのを思い出し、一応ポケットにしのばせておいた。
銀行や酒屋でくれる「趣味の小鉢」や「マイグラス」なるもの、ろくなものはなくて邪険に使っても壊れず、結局は扱いかねて捨ててしまうことになるのが重々わかっているのに、やっぱりもらいに行こうとする、このがめつさ!
言い訳すれば、今回は洗濯ハンガーのプレゼントということで、丁度我が家のハンガーがイカ足なのにタコ足になってしまったかわいそうな代物、是非この際喜んでお受けしたい気持ちもあったのだ。
M店に着くと、けっこーみんな交換に来ている。プレゼントだけもらってさっさと帰っているみたいなのに、店側としては、冷やかしの客でも店頭がにぎわっているのは喜ばしいことなのだろうね。チラチラと店内を物色してみると、春の転勤の引っ越し、新生活の独り暮らし用の電化製品など、時節柄いろいろな新製品でにぎわっている。
4年前、二人の息子の京都と東京での学生生活のための生活用品を色々品定めした頃を思い出す。早いものだ・・・、もう彼らも卒業・・・。
新しもの好きのダンナが、早速いいモノを見つけたとばかり電気マッサージ機のソファにどっかり腰を下ろす。14万8千円の値札。「2,3年前は25万ぐらいしたのになぁ・・・。」パソコン病でいつも肩こりに悩まされているダンナは、またもや欲しがっている。「こんな大っきいもん、どこに置くノン?」とわたしは無視。
「ちょっと、ちょっと」とまた呼んでいる。そこには奥行き幅広のオーブントースターが各メーカーから出揃っていた。
我が家のオーブントースターは連日、朝のパン焼き、昼のもち焼き、夜のグラタン焼き、ときにパウンドケーキ、焼き芋など、魚以外は何でも受け入れて八面六臂の活躍をして、へとへとになっている。
「もうあれ、ボロボロになって汚いから、買い換えよっ。これやったらピザも切らんで焼けるでぇ!」嬉しそうなダンナはもう今にも買いそうな気分。5000円のが今なら3980円! 散歩の途中で気楽に買える値段だ。
そんじゃぁ、作品展の帰りにまた、寄ろう・・・ということで、プレゼントもその時にもらうことにした。
絵画作品展が開かれていた同じフロアーに、「蘭のきもの展」なるものが催されていた。私は去年から着付け教室に通いだして、がぜん着物に興味をそそられるようになって、黙って見過ごして行けない。パンツにブーツ、キルテイングのごっついコートの場違いな出で立ちながら、吸い寄せられるようにその和室の会場に近づいていった。
上がりがまちの部屋に、大きく袖を広げて衣桁にかけられた、豪華な振り袖。
裾模様に、カトレア、胡蝶蘭、シンビジュウム、春蘭、鈴蘭などの華やかな蘭づくしだ。
着物の地色は黒で、背中あたりから腰にかけて緑色に変わり、裾は色とりどりの蘭があでやかに咲き競っている。なんとまぁ、美しいこと!
手描きに刺繍も施されて、たぶん「ん百万えーん!」のお品であることだろう・・・。
奥の座敷にもずらりと蘭の花もようの着物が衣桁にかけられている。
「どうぞ、お入りになってゆっくりごらんくださいませ・・・」
上品な女性がにこやかに迎え入れてくれる。その声につられて上がりかけたが、ブーツを履いてラフな格好をしていたので少しひるんで振り返ると、ダンナは頑として玄関前に立ったまま入ろうとしていない。上がり込んで、着物でも買わされたらえらいことになる・・・とでもいった面持ちで警戒している。
電気製品だと3980円でも、冷静に考えて検討するが、こと、身に纏う物になると、パコーンと理性スイッチがオフになって衝動買いしてしまう私を、彼は良く知っている!
伊達に25年、連れ添っていないぞ・・・。
毛皮のコートや宝石など、200万、300万の豪華な商品の展示会場の雰囲気に呑まれてしまって、7,80万のものが、「やぁ、これお買い得やわぁ・・・。」となってしまうのだ。服飾品だと感覚が飛んでしまうのが、女の得意技! 日頃、大根1本買うのにも、5円、10円で神経をとがらせているのにね。
今から思うと、毛皮のコートは反省しきり。この頃ワシントン条約の影響で、世界的に毛皮フアッションがタブーになってしまって、1回着たきりで、ずっと箪笥の肥やしだ。やけくそでぬいぐるみにでもリフオームしよぅかしらん?
ブーツを履いていてひるんだおかげで座敷に上がらず、上がりがまちの振り袖の目の保養をしただけで満足して退出する。
散歩の帰り道、J電気店についでに立ち寄る。ここでは先ほどのM電気店と同じオーブントースターが3480円。「なぬっ? 500円安い!」
ここで買おう・・・ということになったが、家の台所でボロボロになってもまだ健気に働いている、白かったが今は何色か判別できないオーブントースターの姿が目にちらつく。古くなって汚くなっているだけで、まだ立派に働いているあのトースターを捨てるのか?いんや、捨てるわけにはいかん! 環境汚染だのの問題ではない。何年間かをともに一緒に過ごしたもの同志の「愛」なのだぁ! (おおげさ)
「やっぱりやめとこ・・・。」私の言葉に、ダンナは残念そうだった。これだから家の中が小ぎれいにならんのだ・・・と不服そうだった。が、あえて反対もしなかった。(愛があるから・・・)
服でも何でも、私は気軽に捨てられない性分。リフオームの腕がもっとあれば、セーターでも洋服でもどんどん再生して、新しい命を吹き込んでやりたいのに、いかんせん腕がない。
子供が小さい頃は、ちょこちょこっと縫えばすぐ出来るので、大人のセーターを改造してレギンスなぞにしてやったが、大きくなるとプロ級の腕がないと着てもらえない。
型が古くなった服など山ほどあって、「あんなんしょう、こんなんしょう・・・」と思いつつ残して置いても結局押入にいっぱいになって、断腸の思いで「えいやっ!」と廃品に出してしまう。
新しい物を買わずに、手持ちの服を上手に着回しすることに、もっとセンスを磨かなぁと反省しきり。
だがしかし、私は電気製品などに対しては、驚くほど冷静。男と女の興味の対象の違いだろうか?
かくしてJ電気店でも何も買わず、厚顔にもM電気店にふたたび行ってプレゼントを引き替えてもらおうと思ったら、品切れ・・・。(Jで浮気してたのが、いけなかったか!)
代わりに懐中電灯をもらっちゃった。
M電気店さ〜ん、今度、オーブントースターが壊れたら、買いに来るからねぇ。でもしっかり二股かけさせてもらうから、どちらさんもしっかり、「べんきょうしてやぁ・・!」
TOPに戻る
【最新号へ戻る】
「なにわの掲示板」に
ご感想、ご意見を書いていただくとうれしいです。
kuniko@tecta.co.jp
極楽とんぼホームページへ