似顔絵は三浦さんに描いていただきました。
似てるか似てないかはご想像にお・ま・か・せ。(^^)
「なにわの掲示板」に
ご感想、ご意見を書いていただくとうれしいです。
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3月31日号
「姫路行き新快速」
花冷えのする3月の末、仕事で明石まで行くことになった。
JRの新快速はロマンスシートの瀟洒な車両で、快適な小旅行気分が楽しめる。
冷えはするけれど、車窓お花見の絶好の機会だ。右に山手の桜、左に春の日差しにきらめく瀬戸内海という姫路行きの贅沢な景色を期待して、私は胸が躍った。
乗り込んで座った途端、隣に乗り合わせた初老の婦人に、「この電車、芦屋、止まりますやろか?」と尋ねられた。
私もたまにしか乗らない新快速。おまけにJRはこの他、快速、急行といろいろあるのでややこしくて、わからない。
「え〜っとですねぇ・・・」動き出した列車からホームの電光掲示板に目をこらしても、どの駅に停車するのか読みとれない。列車別の停車駅を示した看板もあっと言う間に過ぎ去ってしまい、確認できなかった。「あきませんねぇ、わかりませんでしたわ〜。
もし芦屋に止まれへんかったら、次の尼崎で降りはったらよろしいわ・・・」
と言ってるうちに、社内アナウンスで芦屋が止まるとわかって、二人で安堵した。
「ご親切にありがとうございます・・」と何度も礼を言われそのうち、「お子さまは何人?」とえらい立ち入った話を始めて来はった。感じのいい人でもあるし、旅は道連れ、お互い初対面ながら、あれこれ身の上話と相成った。
「男の子二人と女の子ひとりです・・・」
「あらまぁ、それはよろしいねぇ、男の子がいたはるなんて、頼もしいですわ・・・」
「いいえぇ、男の子は、結婚したらお嫁さんの方にばっかしですやろ?・・・」
「男の子の方が優しい、言いますでぇ。娘はきつうてねぇ・・・」
そのご婦人は女の子が二人、もう嫁に行って、孫が大学を卒業したばかりとか・・・。
そんならうちの息子と同い年、うちのお義母さんと同じ立場。
「そんな大きなお孫さんがいてはるんですか?お若く見えますが・・・」
「65才ですねん。私は18で結婚して、娘は19で結婚しましてん・・・」
〔早婚の家系か?)
「娘さんの方がいつまでもおかぁさんのこと、思うてくれはりますよぅ?・・・」と私。
「友達の息子さんは優しいて、きつい嫁さんに内緒でそ〜っとお饅頭、買うてきてくれはるそうですわ・・・」
その人はあくまで優しい息子の幻想がついて離れないようだ・・・。
「そんな優しい息子さん、珍しいですわ。うちの主人、お義母さんにそんな優しいこと、したことありませんわぁ。」
ひとしきり、娘、息子の話に花が咲いて、「ごきげんよう」と芦屋駅に降りて行かれた。
少し足を引きずりながら、先程とは違った険しい顔をしながらホームを歩いておられる。
ご主人を既に亡くされているとかで、一人暮らしをされているのかもしれない。
孤独な老後なのかもしれない。しきりに私の義母と実家の母のことを羨んでおられた。
隣り合わせた10分程の間中、見ず知らずの私に沢山おしゃべりをして帰られた。
隣の柿は赤い。隣の芝生は青い。他人の暮らしはよく見えるものだ。
私の義母も乗り合わせた人に、嫁のグチを言っているかも知れないと言うモンだ。
しばしその人の余韻を残しながら、右に迫る山の2,3分咲きの桜、左にキラキラ輝く海を眺めていると、神戸から80才以上かと思われる男女3人組のお年寄りが乗り込んでこられた。
白髪が豊かにカールして、口紅を赤くさしたモダンなおばあさん。
耳に補聴器を付けて、ステッキをついたおじいさん。
背中を丸めて、背丈が1メートルぐらいになってしまった、帽子をかぶったおばあさん。
前の4人掛けのシートに座って話しておられる。
「垂水は止まりますかね?」
「あらっ、止まらないんだって! おっほっほっほ・・・」
モダン婆様が、見かけの割につやのある、大きい声で笑っておられる。
どうも、関東弁のようだ。
「着た電車にすぐ、乗ったモンだから・・・」
「日が暮れるまでに着けばいいんじゃない?おっほっほっほつほ・・・」
ドジをしでかしたのに、この余裕。
少しもあわてず、騒がず、平常心の構え。
(う〜む、大したもんだ・・・)
私たちは毎日ドジをしないように、あくせく暮らしている。
より早く、より正確に、より良いくらしに。
(そんなもの、どうだっていいのよねぇ、おっほっほっほっほ!)
そんな笑い声のように、淀みなく、豊かに弾んだ声が車中に響いている。
左に明石海峡大橋が、真昼の太陽に映えて美しい線を描いている。
明石駅に着いた。3人はヨタヨタとホームに降りて、乗り過ごしたため反対側の大阪行きの新快速に乗ろうとしている。
「これに乗ると、垂水に降りれませんよ」立ち聞きしてしまった以上、ついつい声をかけてしまった。「階段を降りて、向こうの2番線ホームが、各停の大阪行きやからね・・」
階段を降りるのもおぼつかない3人組。
「私は傘を杖にしているから大丈夫よ」などと声を掛け合いながらの珍道中。
それでも、おおらかなこの3人組に何だかパワーを与えてもらったような気がした。
桜と海と、旅の道連れ。
姫路行き新快速は、オフホワイトの車体を滑らせて去っていった。
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3月20日号
「育児をしない男は誰?」
今、話題のポスターがある。
安室奈美恵と結婚したサムが、彼女との間に出来た赤ちゃんを抱き上げている写真のポスターだ。横に「育児をしない男を 父とは呼ばない」とコピーが書かれている。ポスターの提供は「厚生省」とある。
地下鉄の駅に貼られているこのポスターを通りがかりに見かけて、「ふ〜ん・・・」としみじみ立ち止まって見てしまった。
なにせ話題の、アムロとサムの赤ちゃん、温大くんがお昼寝から覚めたばかりの、ちょっと眠そうなあどけない顔をして、にっこり笑っている瞬間の写真だ。
色白の彫りの深い面差しが、母親似かな?と思わせる、とてもかわいい赤ちゃん。
あまりいい男と思っていなかったサムが、長い髪を後ろにくくってうつむき加減で子供を抱き上げている姿は、優しい父親がにじみ出ていてとてもいい感じなのだ。ヒップホップ系のダンスをしているいつものサムとは打って変わって、落ち着いた家庭の父親の味を出している。
いい写真だなぁ・・・と思ったのと、その横に書かれているコピーもいろいろな意味で面白いなと思ってしまった。
一昔前、子育ては女の仕事とされていた。おぶいひもで赤ん坊を背中におぶっておけの前にしゃがみこみ、洗濯板でおむつを洗っている女のひとの姿・・・。
戦前のセピア色に変色した写真風景はこんなもんだった。
赤ん坊が夜泣きをすれば、ひたすら夫の眠りを妨げないように、妻はねんねこをかぶって一晩中寒空の下で寝かせ付けたり、夕食のおかずは父親だけ違っていたり・・・。
父親がいばって何もしない家父長制の名残りをとどめている家庭風景が、向田邦子さんの小説やエッセイ等によく出ている。
戦後に生まれ育った我々世代では、民主教育も進み、まめな男の人は子育ても協力的であったように思うが、こうはっきりと子育てをしない男は父親じゃないと糾弾される程、社会は女性の味方ではなかった。
しかもそれを唱えているのが、ウーマンリブやフェミニストではなく、「厚生省」というところに隔世の感がある。
政府が「お父さん、子育てをせんとあかんよ!」と大々的にキャンペーンをはらなきゃいけないほど、事ほど左様に出生率が下がっているのかな・・・?
それ程、保育園施設が増やせられないのかな?
それ程、男は仕事人間で母子は追いつめられているのかな?
つまり、政府が声を上げて父親に子育ての協力をあおぐムード作りをしなければならないほど、子育ての環境が今追いつめられているのかしらん?
ポスターの下方に、こう書いてある。
「日本のお父さんの平均育児時間は17分・・・。
2人で作った子供なのに、これではお母さんひとりで育てているみたい。
妊娠や出産が女性にしかできない大仕事なら、育児は男性にもできる大仕事。
お父さんには子育ての楽しさ、大変さをもっと知って欲しい。
そして21世紀を担ってくれる子供達のことを、もっと考えて欲しい。
ゆったりと子供の心を見つめるゆとりを持って、素敵なお父さんになって下さい。」
確かに出生率が「1」を切れたこともあるし、働くおかぁさんが低料金で安心して子供を預けられる公営の保育施設は、過当競争らしい。
学校が荒れているのがどんどん低年齢化しているし、未成年の凶悪な犯罪が増えている。
ダイオキシン問題で、精子は半減、子宮内膜症は増加とくりゃぁ、次世代の子供が健全に育たず、高齢人間ばかりが増えて、そりゃぁ、21世紀も暗澹たるモンだ・・・。
その暗澹たる未来の解決策が、お父さんがしっかり子育てに関わることです・・・か。
もちろんですよ。お父さんがおかぁさんと協力して子育てするのは。
そんなこと、言われんでもわかってますよね、お父さん?
でも子供が寝てしまっている深夜に帰宅して、朝まだ起きないうちに仕事に出かけなきゃいけない労働状況のお父さんがいっぱい。特に子供の小さい30代のお父さんが一番働かされ盛りで、ゆっくり子供と関わる時間も無いのと違う?
政府がこの苦境を脱するのに、お父さんの心構えを当てにする方向に持っていくのは、ちとお門違いのような気がするのだけど・・・。
安心して子供を産んで育てられる環境、希望ある社会作りを真っ先に考えたほうが、出生率は上がると思うんだけど・・・。
ま、女性にとってはありがたいキャンペーンだけどね。
今までもっと子供の世話をしたいと思っていながら、男の沽券に関わるとか、奥さんの尻に敷かれていると思われたくないばかりに肩肘怒らせていた男性も、これで大ぴらに赤ちゃんのおむつを替えることが出来るしね。
これから会社で男性も育児休暇を遠慮なく取れそう。厚生省もああ言ってますから・・・なんてね。
粋な計らいのキャンペーンだと、素直に思っておこう!
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3月10日号
「だんごの真ん中」
だんご3兄弟の歌が全国を席巻している。
簡単な節回しと、軽い親しみのあるタッチのイラスト、そして詞が、3兄弟の性格を言い得ている。
近頃の子は、一人っ子感覚の強い長男長女の二人兄妹か、長男(女)次男(女)ぐらいなので、兄弟の多さにあこがれて歌っているのかも知れない。
大人も、それぞれ自分たちが育った頃を思い浮かべ、ふむふむ、なるほどと言った感じで面白がっている。
3人というのがミソで、兄弟2人だと喧嘩も1組ですむが、1人増えたが為に喧嘩は3組となり、織りなす関係もじゃんけんポン関係から、上から順に下へ関係、真ん中から上下関係と、一挙に複雑化する。
「3匹の子豚」や「長靴を履いた猫」、「次郎物語」、「リヤ王」など3人の息子、娘の綾なす話を見れば、だいたいの性格の系統を物語っている。
それぞれの性格もあるので、生まれた順番だけでは規定されないものの、なにやらステレオタイプのような全体像が見えてくるような気がする。
一番上の子は、なにせ親にとって、あるいは一族にとって初めての子供という、劇的な位置を生まれながらにして持っており、彼の周りには希望や期待、緊張の空気が辺りにたちこめている。親にとって初めての経験が常につきまとい、親の関心を集めながら成長する。愛情を受けるのが、当たり前と思ってたり負担にもなったりで、おっとりしていたり傲慢だったり、お兄ちゃんだからという責任感も植え付けられ、まあ、大変だ。
二番目は、親の緊張感もちょっとゆるんでいる。二度目の経験と自信で少しゆとりを持って見ている。無意識的に長男の持っていないモノを彼に求めているかも知れない。長男の性格によって、次男は微妙に軌道修正されている。又不思議なモノで、長男と次男は対照的な性格の場合が多い。長男を隠れ蓑にしたり、目の上のこぶにしたり、親が小さい弟をかわいがるのを見て羨んだりと、次男の気持ちは一番複雑。
三番目となるとさらに、親の気持ちにゆとりが出来、少々くたびれもしている訳で、あれこれ口やかましく干渉することも弱まっている。三男は2人の兄のドジを知らず知らずに学習して要領良くこなしているので、親にとって最後の子育てを楽しもうという気分にもなって、ゆったりした愛情を注いでいる。
十分な愛情と学習の結果のせいか、末っ子が物語りでは成功している例が多い。
だんご3兄弟の長男は弟思いで、三男はお兄ちゃん思い、一番損な役どころは次男坊で、お兄ちゃんからいじめられ、それを弟に回すと末っ子は親に訴えて、結局の所しかられる羽目に陥る。逃げ場のない次男坊は、自分が一番と、自己主張せずにはおれない立場なのだ。
串にささった3つのだんご、最初の1つは、どんなんかなあ〜?とワクワク、2つ目はまあ、惰性、3つ目はもう後1つしかない、ゆっくり大事に食べよう・・・。
次男に同情的なのは、私が次女のせいでもある。
四人兄弟の三番目、姉・兄・弟に挟まれて、完璧な中子として育った。
姉は、蝶よ花よと育てられ、両親の好み通り中学から大学まで女子校でお嬢様教育を受けた。
兄は待望の男の子で、努力家でもあったので両親の期待通りの希望の星となり、自慢の子でもあった。
もう一人男の子が欲しいと妊娠して、お腹の中で元気に暴れる男の子だと思っていたのに出てきたら女の子だったのが私で、少々がっかりの、生意気なおてんば娘だった。
おとんぼの弟は、おとなしく少しからだも弱かったので、教育ママのハシリであった厳しい母も、彼には終始優しかった。
我が家で親の愛情を得るには、まず学校の成績だったわけで、私は高校ぐらいまで一生懸命優等生役をこなしてきたものだ。
四人もいると、愛情争奪戦を無意識にしているもので、私は親に愛されていなかったと大きくなって姉に話すと、意外とお互いに相手を羨んでいたりして、けっこー、お笑いのネタになるのだった。
そんな中子の気持ちがよく分かるはずだったのに、3人の子供をもうけると、即座に親の立場になってしまった。
長男や末娘とは話が通じるのだが、次男がよく分からない。何を考えているのか、何をしょうとしているのかさっぱりわからない。親の価値観に縛られたくない、家を出たいとさっさと東京の大学に行ってしまい、気ままに暮らしてハラハラさせられている。今更ながら、両親が私にハラハラしていた気持ちがよく分かってきた。
だんごの真ん中は一見、気ままで自己中、人には反抗的に見えるけれど、その実、ナイーブで愛情深いという、複雑色をしている愛すべき人物であると私は思っている。
兄弟の役どころ、大した問題じゃないと言いたいところだけど、やっぱり人間の性格を左右しているようだし、一生深く関わっていくことになるんだろうね。
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【3月2日号】
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3月2日号
「整 理」
自慢じゃないが(もちろん自慢できることじゃない!)、私は整理が下手だ。
モノが捨てられない。新しいモノが増えると古いモノは捨てなきゃ、貯まる。
それが出来ない。もったいないお化けの権化だ。愛着にも固執する。
それでも子育ての真っ最中の若い頃は、言うことを聞かない子供と喧嘩をした後や、ダンナと衝突して胸に一物ある時、私はがぜん、「片付け好き、掃除好き」の人間になった。
気持ちのクサクサ、心のドロドロ、そんなモノを床や壁にグイグイ塗りつけるように、拭き掃除をしたり、要らぬモノをバンバン捨てて整理した。
這いつくばって、力を入れてゴシゴシ拭いていると、汗が出て心地よい疲労感ときれいになった清涼感、物事をやり遂げた充足感みたいなものに満たされた。そして普段ちゅうちょしてたものをバッサバッサと捨ててすっきりしてくると、先程までのクサクサ、イライラがもうどうでも良くなり、我ながらいい性格をしているなぁと思ったりしたものだ。
私の友達で、夫婦喧嘩の武勇伝の持ち主がいる。
ご主人が浮気をしたとかで、彼のカシミヤのセーターを切り刻み、お皿や周りにあるモノを手当たり次第彼に投げつけ、ついにはハンマー投げの如くアイロンのコードを持ってブンブン振り回し、シャンデリアを割り、食器棚を傷つけ、部屋中のモノを破壊した挙げ句のはて、アイロンが自分の手に当たり小指を骨折させて、やっと戦闘は終結したという。
彼女の話を聞いていると、まるでドタバタ喜劇をまさに見ているようで、世の中こんな芝居のような喧嘩をする人がいたのか!と目からウロコの状態だった。
肝心の本人はそれだけ暴れるとスカッとするらしく、何のことはない、その後は夫婦喧嘩は犬も喰わない仲むつまじさだ。
高価なものを壊したり、その後の片付けなどを考えると、ケチな私にはとてもそんな派手なけんかは出来ない。
もともと私はモノを壊したり、捨てたりできない「もったいながり」なので、モノも貯まってくる。子供も大きくなって喧嘩することもなく、夫婦も年を経ていくにつれ心も体も丸くなって、ぶつかることもなくなってきた。
自然と掃除や片付けで、思いの丈をぶつけることもなく、整理にひたむきさが無くなってきている。
今朝、流しの下のモノ入れのドアを開けると、ゴロゴロとタッパーや、ラップの筒がこぼれ出てきた。
いかん・・・。流しの下がぐちゃぐちゃや・・・。
事務所は午後からの出勤にして、しばし片付けにひた向かう。
出るわ出るわ、プラスチックの大小の、丸、四角の入れ物類!
何処に行ったかわからなかった、ゆで卵の飾り切り器。押し寿司の型。マドレーヌの型。
娘の幼稚園の頃の水筒、お弁当箱。おかずに入れるウインナーのタコさん切りが出来なくて、娘にごねられたものだった・・・。息子の、ストローのついたスポーツ用の水筒、高校時代の大きなお弁当箱も出てきた。次男坊は食が細いので長男よりやや小ぶりなのも・・・。
卵焼きが大好きで、毎日入れていた・・・。今でも帰阪して卵焼きを作ってやると喜んでおいしそうに食べている。お弁当箱にくっついて、思い出がずるずる引きずられて出てくる。
整理をしているはずが、思い出遊びになってしまった。
3人の子供の黄、緑、橙の色別お菓子入れ。おやつはけんかしないように何でも3つに分けて、ここに入れていた。ポテトチップ、カール、かっぱえびせん・・・。
こんなお菓子入れはもう使うことはないのに、やっぱり捨てられない。小さい頃の面影と一緒に重ねて奥にしまい込む。
岡山の祭り寿司、福井のカニ弁当のプラスチックの弁当箱。釜飯が入っていた素焼きの小さな釜。子供らの昼御飯にちょっと目先を変えて、駅弁風に作ったりしたものだった。
こんなモノまで後生大事にとってるんだから、そりゃぁあふれてくるってもんだ・・・。
おびただしいプラスチック製品を、ゴミ袋にバカバカ入れていった。それにしてもこんなにいっぱいプラスチックに囲まれて育っている我が子は、ダイオキシン漬けか? 赤ちゃんの頃は、陶器は重いし割れるので、ずっとプラスチックだったような・・・!
今更もう、遅い。精子も半減しているかも知れない・・・。思いは乱れ飛ぶ。
水炊き用の大きな鍋も、息子二人が家を出て以来あまり使わない。少し小ぶりな方のと交替して奥にしまい込む。
この整理は、我が家の子育てほぼ終了の節目かも知れない。
弥生3月、あちこちで暮らしの節目を迎えて、片づけをしている人が多いことだろう。
4月から新しい生活を始める人も、さぞかし身辺の整理にあわただしいことだろう。
身辺整理・・・むむむ、人かモノか、含蓄のある言葉だ!
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